Crossing

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太陽が仕事を頑張っている。 夏とはそんな季節である。 暑く照りつける太陽に、肌は焼かれる。 「……熱い」 少女こと、真由美は砂浜に降りると率直な感想を口から溢す。 「真由美さん、忘れ物ですよ」 連れの男こと、椎名はそう言うと麦わら帽子を真由美にフリスビーを投げるように放った。 「あぁっ」 しかし、それは浜風に流され明明後日の方向へ飛んでいってしまう。 行き場を見失った麦わら帽子は、風に舞いヒラヒラと宙を泳ぐ。 「ん?」 それはまるで吸い込まれるかのように、麦わら帽子は砂像の元へ飛んでいった。 「これは……」 麦わら帽子は砂像にフワリ、乗っかる様に着地した。 砂像を作っていたであろう青年は腕を組み、麦ワラ帽子が乗っかった砂像をまじまじと見る。 「案外絵になるかな?」 「天城ぃ」 砂像の近くに居た天城と呼ばれた青年。 呼び掛けられた声にも無反応で、その場から動こうとはせず砂像を見つめる。 「天城っ」 「んぉっ。な、なんだよ志穂」 ようやく、志穂と呼ばれた少女の声に反応した青年。天城は、振り向く。 「天城ぃ、さっさとこの帽子を取ってあの子に返しなさい」 志穂が指差す先には、砂像を呆然と見つめる真由美の姿があった。 「いや、でもこの麦わら帽子とのコントラスト。絵になると……」 言葉の途中だが、天城は喋るのを止めた。 拳を思いっきり振りかぶる志穂に対して、天城は身の危険を感じたのだ。 「これ、君の?」 天城は麦わら帽子に付いた砂を払いながら、真由美に尋ねる。        
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