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と勝者は悠々とステージから降りるが……
「真由美さん!!」
椎名はとても驚いた表情で真由美に駆け寄る。
「見られてましたか」
「はい、大規模な大会でしたから」
ジト目で椎名を見る真由美は、疎外感からなのか機嫌が悪そうに答える。
「なんだい、奥さんに黙っ出てたのかい」
椎名から少し遅れて、ペアだった男が近づく。
「あっ、どうも成瀬さん」
そう言うと軽く会釈する椎名。
「残念ですけど私は椎名さんとは夫婦じゃないですよ」
未だに不機嫌な真由美は少し雑に、成瀬へ返答する。
「そうなの、このチケットでサプライズプレゼントしたいって椎名さんがいってたから……」
「えっ」
「あっ」
慌てて、口を隠したがもう遅い。ニンマリとした笑顔で、椎名を見上げる真由美。
「なにも、聞きませんでしたから。それじゃぁ、私は着替えてきます」
そう言うと足取りも軽く、上機嫌に脱衣所まで歩いていった。
「すいません、余計なお世話でしたか」
「いいや、機嫌を損ねると厄介ですからねこれで良かったのかな」
椎名はそう言うと海を見る。
穏やかな海に、はしゃぐ金髪の子。
ひとしきり海を見渡すと。
「今日は平和に終わると良いですね」
そう呟くと成瀬も。
「そうですね」
と言い、二人は腕を組み水平線を眺めるのであった。
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