ヒトモシは想う

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 厳選余りと称される私たちは、バトルサブウェイという場所において必要不可欠であるらしい。特に私たちヒトモシやその進化系であるランプラー、シャンデラなんかはいないと困る。と言われている。それに悪い気はしないけれど、以前捨てられていた厳選余りのポチエナには申し訳ない気持ちになる。  あの子は最終的に、傷が膿んでしまい、その場所が壊死して、そうして死んでしまった。野良ポケモンはそれでなくともガス室で殺処分されてしまう。なまじ人間に慣れているだけ捨てられた子だということが分かりやすいのだ。  あのポチエナの死に水を取ったのはポチエナを見付けた私のマスターの双子の弟さんであるクダリさんだった。  クダリさんはいつもの笑顔のまま、瞳を悲哀に満たして、心拍の弱くなるポチエナを見つめていた。私は、そのポチエナから魂が剥がれようとするのを見つめていた。  ポチエナは最後に一度、薄く目を開けて私を見つめ、そうして深く息を吐き出して息絶えてしまった。その魂を私は飲み込んで、体内で優しく燃やしてあの子が亡霊になってしまわないように抱き締める。  クダリさんは、相変わらずポケモンが死ぬことに慣れていない。バトルサブウェイでは脱線事故や死亡事故なんて呆れるほどある。それでも、その全てにクダリさんはあの笑顔のまま泣いて、ノボリさんは誰からも忘れられた駅のトイレで一人さめざめと泣くのだ。そんな彼を、私は時折ぼんやりと見に行く。彼のすすり泣きを聞きに行く。  バトルサブウェイでは、良く良く事故が起きる。その度にトレーナーや、トレーナーを守ったポケモンや、時にはそのどちらもが死んでしまうことがある。そのために私たちはこのサブウェイでぼんやりと生きている。あのポチエナも生きていたなら、暴漢対策のためにここで働くことができただろうに。  私は今日もぼんやりと眠る。 END
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