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生まれて初めてできたお友達は、金色のおほしさまだった。
きっとほしのかけらよりもキラキラ輝く、綺麗な綺麗なおほしさまだった。
その時、私はまだ生まれたばかり。頭に卵の殻を乗せて母親のいない世界でぼんやり空中を眺めていた。空はキラキラ夜の闇に輝いて、月は雲に隠れてぼんやり笑っていた。夜だった。
私はまだ朝も夜も知らなくて、親も友達もいなかった。
そこで生まれたロコンは私だけで、そこで生まれたポケモンは私だけだった。
私はたった一匹できのみを食べて生活をしていた。空から時折降る苦手な水を凌ぐために洞窟で眠り、生きていた。モモンのみが好き。甘くて、柔らかくて、幸せな気分になるから。幸せな気分にしてくれるから。
私は一匹だった。生まれてからずっと。
だから世界には私一匹しかいないんじゃないかって思っていたの。
ある日私は、赤くて綺麗な石を見つけて、それにそうっと触れてみた。冷たい石の筈なのに、それはどこか暖かくて、私の体を光が包んで……石は消えてしまった。
今までの褐色の毛皮は失われて、くるくる巻いた六本の尻尾も小さな体も失われてしまった。けれど、今までの褐色の毛皮を失った代わりに私の体は夜明けの空のような、薄い金色の毛皮を得て、くるくる巻いた六本の尻尾を失った代わりにふさふさとした美しい九本の尻尾を得て、小さな体を失った代わりに優雅で美しい体を得た。それでも、私は私でなくなってしまった。
丁度その日に、彼女が眠って千年の時が私の頭上で過ぎようとしていた。
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