千年の時をこえて

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 私と彼女はたった七日しか無い時間を眠ること無く過ごした。たくさんの話をした。たくさんの話を聞いた。  彼女は千年を眠って過ごし、七日起きるのだと言った。同時に、千年前にお友達になったポケモンは、もうこの世界に存在しないのだということも。  それはどんなに寂しいことだろう。お友達になったのに、次に目が覚めた時にはもういないのだ。どんなに悲しいことだろう。  七日はあっという間に過ぎてしまった。  どんどんと眠くなる。眠くなる。七日間眠らなかったのだから、眠いのは当たり前だけれど、せめて見送りたかった。 「それじゃあ、僕はまた眠るよ」  寂しそうに言ったジラーチが、あまりに可哀想で悲しくて大好きで優しくて、私は彼女の頬に頬擦りした。 「私、千年後まで待ってるわ。  キュウコンはね、長生きなの。千年なんてあっという間に過ぎてしまうわ。待ってるわ」  そうして彼女の柔らかい頬にお休みのキスを送って、私は閉じる瞼に任せた。 「キュウコンちゃん、ありがとう」  うっすらと聞こえた言葉に笑みを浮かべる。
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