拾いもの

3/27
前へ
/53ページ
次へ
「綾奈」 呼ばれたのは私の名前。至って普通で特徴もないけど、嫌いじゃない。覚えられやすいし、正直言えばそこそこ気に入っている。 「なにホノちゃん?」 北崎歩乃香(キタザキホノカ) 。私の友人だ。 中三の私たち二人は現在下校途中で、住宅街の坂道を歩いていた。 「……ん。いや、ね」 歯切れ悪く答えるホノちゃん。私が首を傾げると。 「志望校。私、国立にいこっかなーって思って」 「……頭いいもんね。私は県立かな。私立はお金掛かるし。国立行けるほど勉強できないし」 「綾奈は南高に?」 「うん。近いし」 息を吐くと、途端に白くなる。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加