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「綾奈」
呼ばれたのは私の名前。至って普通で特徴もないけど、嫌いじゃない。覚えられやすいし、正直言えばそこそこ気に入っている。
「なにホノちゃん?」
北崎歩乃香(キタザキホノカ) 。私の友人だ。
中三の私たち二人は現在下校途中で、住宅街の坂道を歩いていた。
「……ん。いや、ね」
歯切れ悪く答えるホノちゃん。私が首を傾げると。
「志望校。私、国立にいこっかなーって思って」
「……頭いいもんね。私は県立かな。私立はお金掛かるし。国立行けるほど勉強できないし」
「綾奈は南高に?」
「うん。近いし」
息を吐くと、途端に白くなる。
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