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「……ここは」
気がつくと、俺は真っ白い空間に来ていた。
どこを見ても白、白、白
一体いつ、俺はここに来たんだ……?
いや、そもそも俺は就職の内定通知が届いて――
「ふぉっふぉっふぉ、目が覚めたかの」
俺がここにいる事について思考を張り巡らしていると、どこからともなく男の声がした。
そちらをうかがって見ると、そこには髭を蓄えたかなり年の取ったじいさんがこちらを見ていた。
俺が身構えてひと睨みすると「そう警戒するでない」と返してきた。
「ワシは別にあやしいものでは方がない」
じいさんはそう言うが、ここで警戒しない方がおかしい、
確かに突然こんなところに連れて来られて精神的に不安定かもしれないが、
知らない場所、
俺に声をかけてきたじいさん、
これだけあやしい要素が揃っているのだ、どんな馬鹿でもじいさんを警戒するだろう。
「どうしても警戒を解かないようじゃからこのまま話すかの」
じいさんは俺の警戒を解くのを諦めたのか、いきなり喋り始めた。
「単刀直入に言う」
「主はもう死んでおる」
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