緑の世界

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ザッと音がして、なんだろうと目を開けたら2人が地面に膝をついて自分に頭を下げていたという、なんとも訳が分からない状況が芹を襲う。 「えっ!?何してるんですか!?」 慌てる芹の耳に、頭を下げたままの2人の声が届く。 「非礼をお許しください」 「我らには貴女様のお相手は務まりませんので、村長の元までご案内いたします」 いきなりの敬語にも驚いたが、態度の変わり様にはあっけにとられた。 「……あの?」 「は。何でしょうか?」 戸惑う芹に、おじさん(オレンジ)がどこぞの兵士かといった感じで答える。 「……いきなり、どうしたんですか?」 ついさっきまでは、自分を胡散臭げに見ていたのに…と、当然の疑問が浮かぶ。 「貴女様は異世界より参られたと…」 「えぇ、まぁ。そうですけど」 「我が国には、ある伝承がございます。  『神の御心穢れし時 世界は滅びの道を辿る 聖き者よ 願え 異世界より舞い降りしは 大地の愛子(まなご)  彼の者 大いなる力により此の地を救う  大地に愛されし緑の乙女 此の地に永遠(とこしえ)の恵みをもたらさん』 ……先程のお話で、貴女様が伝承にある“緑の乙女”なのだと分かりました」
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