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この世界には、自分と同じ普通の人間はいないのかもしれない、と軽い衝撃をうけた芹。
周りに見入って佇んでいた芹に、後ろにいたおじさん(黄色)が声をかけてきた。
「どうされました?」
「……いえ。私がいた世界とは違うところばかりで驚いただけです」
「そうなんですか。
ああ、だからさっき俺の羽根に驚いてたんですね」
合点がいった、というように頷くおじさん(黄色)に、居心地の悪さを感じた芹は1つのお願いをする。
「あの。……敬語、やめてもらえませんか?」
「へ?……いやぁ、それは…」
「お願いします」
困った顔で頭を掻くおじさん(黄色)に詰め寄っていると、前にいたおじさん(オレンジ)が訝しげに近付いてきた。
「……何かありましたか?」
そこで、先程と同じお願いを繰り返す。
「それはできません」
揃って困り顔で、でもキッパリと断わられてしまった。
「どうしてですか?」
「貴女様が――」
「伝承とかは関係ないです。
私はあなた達よりもずっと年下だし、最初みたいに喋ってくれた方が嬉しいです」
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