緑の世界

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「それなら、一体どんな姿をしてるんだ?」 「私のような姿です」 「あんたは、鱗とか無いのか?」 どうやら、ヒューズのように服で見えないところに何かがあると思っていたらしい。 「何もないです」 「……それじゃあ、どうやってここに来た?」 「わかりません」 「は?」 「気付いたらここに来ていたので」 正直に話した芹だったが、これでは到底信じてもらえる筈がない。 「そんな理由があるかよ」 鼻息荒く腕を組むダンに、もう少し詳しく話してみる。 「……私は、もと居た世界の公園で寝ていました。 そして、起きたらこの世界だったんです」 「その、コウエンってのは何だ?」 「人が散歩をしたり、子供が遊ぶ遊具なんかがある場所です」 「……?…散歩をするのに場所が決まってるのか?」 「いえ、そうではなく…」 「ちょっといいですか? 話が逸れてます」 本当に異世界人なのか?というお題だったのが、見事に脱線しかけていた。 それを止めてくれたヒューズを見て、確かに。と気付いたダンと芹。 仕切り直しとばかりに咳払いをして、ダンが話を戻した。 「……どうやって来たのか分からないってことだったな。 それなら、あんたの居た世界のことを話してくれ」
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