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白く四角い校舎が並び、少し下がったところには、中々の広さのグラウンド。
校舎内といわず、敷地外まで鳴り響くチャイムが、本日の授業の終わりを告げる。
途端に騒がしくなる教室、廊下。
数多の生徒達の話し声は、最早騒音といえる。
一年生の教室がある、第2校舎3階の廊下を、1人の女子生徒が歩いていた。
鞄片手に、早足で進む少女。
周りは友人らと楽し気に会話しながら帰っているというのに、
少女はひとり。
かといって寂しげでもなく、そこにあるのは静かな表情。
……無表情、と言ってもいいかもしれない。
その歩調、速度はいささかも乱れず、
少女の姿はすでに学校の敷地外にあった。
目的地でもあるのだろうか。
少女の足取りに迷いはなく、瞳はただただ真っ直ぐにどこかを目指しているかのよう。
と、ふいに少女の歩みが止まる。
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