緑の世界

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全員が席に着くと、カジが急須(っぽいもの)を持ち上げ、4つのカップに中身を注いでいく。 「セリ様、どうぞ」 年輩者(偉いはずの村長までも)を差し置いて真っ先にカップを渡され、芹は戸惑う。 しかし、ここで遠慮するのはかえって失礼だろうか。 そんな芹の葛藤に気が付いたのか、 「お口に合うか分かりませんが、どうぞ飲んでみてください。 これがこちらでの一般的なお茶です」 と、ヒューズが勧めてきた。 そのお茶は、薄い緑色をしている。 カップを持ち上げ匂いを嗅ぐと、爽やかな良い香りがした。 そのまま、一口飲む。 その味は、香り同様爽やかで、日本でいうところのハーブティーのようだ。 「おいしいです」 感想を言うと、カジが笑顔を見せた。 「そりゃよかった。 セリ様、こいつを入れるともっと美味いですよ」 目の前に置かれたのは、蓋付きの小さな壺。 「これは……?」 こちらのことが全く分からない芹は、見るもの聞くもの、すべてにおいて訊ねなければならない。
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