緑の世界

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「それはリウといって、調理に使ったりお茶に入れて飲んだりするものです」 芹の疑問に答えてくれたのは、またしてもヒューズ。 (……砂糖みたいなものかな?) 蓋を開けて壺の中を覗くと、中にはなにやら丸い粒が。 形状はかなり違っているが、色は三温糖に似ている。 せっかくなので、リウとやらを入れてみた。 飴玉くらいの大きさだが、混ぜなくても溶けるのだろうか? と芹が考えていると、 「ほら。これ使え」 ダンが木製のスプーンを差し出してきた。 くるくるかき混ぜ、飲んでみる。 先程よりも甘く感じるそれに、砂糖という見解は間違っていなかった、と安堵する芹。 「おいしい」 「それは良かった。 セリ様の世界にも、似たようなものがあるんですね?」 「はい。砂糖っていう、植物から作られる甘味料です。 ……でも、どうして分かったんですか?」 確信しているようなヒューズの口調に、芹は首を傾げる。 「味のことは何も教えていないのに、躊躇わずに入れられたからですよ」 事も無げに言うヒューズだが、様子を見ただけで気付くあたり、ヒューズはかなり鋭い観察眼を持っている。 それならば、初見で芹を疑ったことが納得いかないが……いや。だからこそ、なのかもしれない。
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