緑の世界

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村の端っこで寝ている、見たこともない服装の少女。 見るからに怪しい。 それを伝承と結び付けることは、いくらなんでも無理だったのだろう。 ヒューズの鋭さに芹が感心していると、お茶を飲み干したダンがカップを置いてから口を開いた。 「これからのことなんだが…俺は、お前が異世界から来たってことには納得できた。 ただな、こいつらが言うように、“伝承の乙女”だとはすんなり信じられない」 ダンの言は尤もだ。と頷く芹。 なにせ、芹自身もそう思っているのだから。 ちょっとうたた寝のつもりが、目が覚めたらそこは異世界で。 しかもなんだか大それた存在だと言われ、 『そうなんですか?大役ですね!私、頑張ります!!』 とは言えない。 芹が遠い目をしていると、村長のダンから今後の処遇を言い渡された。 「――で、だ。まぁ、取り敢えず王には報告しないといけないからな……明日、一緒に城に行ってもらう」 いや。“処遇”は王が決めるのだろうから、これからの“行動予定”といったところか。 「わかりました。 それまで私はどうしてればいいですか?」
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