緑の世界

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「………か?」 「いや……だ……ろう?」 (……ん~、うるさい…) うたた寝のつもりが熟睡してしまっていた少女――芹は、周りの騒がしさに眉を潜め、重たい瞼を押し上げた。 「………え?」 まず目に入ったのは、 「……空が……白い…」 真っ白な、まるで空一面が大きな雲に覆われてしまったかのような景色。 しかし、そうではないと辛うじて判断できたのは、 そこに雲がちゃんと浮かんでいたから。 ……ただし。 それが本当に雲なのかは、俄には信じられない色をしているが。 「……なんで…空が白くて、雲(?)がピンク色な訳……?」 思わず芹は、自分の頬を ……つねるのではなく、叩いた。 なかなかに痛い一人ビンタのおかげで、これは夢ではないのだ。と、頭の隅で理解する。
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