新学期

2/5
前へ
/60ページ
次へ
青「…ふぁ……」 窓際の席で、舞い散る桜を見下ろしながら 青葉は小さく欠伸をした。 春というのは、どうしてこうも眠くなるのだろうか。 始まりの季節だから、気合いを入れるべきであるはずなのに 心地好い風とポカポカな陽気が、やる気を奪い、眠気を誘う。 もういっそ夢の世界に入り込んでしまおうか。 詩「あーおー君。起きて下さーい」 そんな風に考えていると、背後から現れた詩織が、眠気を飛ばさんと青葉の肩を掴んで前後に軽く揺さぶった。 青「何だよ詩織~」 迷惑そうに青葉は言った。 詩「新学期早々、寝ちゃダメだよ~。もうすぐHR始まるよ?」 青「そうは言っても眠いもんは眠い…」 み「やっほー!青葉ー!!」 再びまぶたが下がりかけた刹那、みもねの強烈な大声が左耳から右耳へと突き抜けた。 詩「やっほー、みもねちゃん♪」 み「やっほん♪…って青葉、どーかした?」 青「どーかした?じゃない!いきなり耳元で大声出すな!びっくりするだろ!!」 一瞬で眠気を飛ばされた青葉は、キレ気味にそう言った。 み「だあって~春は気分がウキウキってゆうか~♪」 詩「なんだか心踊るよね♪」 み「そうそうっ♪恋の季節でもあるしね!」 青「はいはいそーですか」 ガールズトークは余所でやれよも~。 そう思いながら、青葉は不機嫌そうに再び窓の外を見下ろした。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加