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青「…ふぁ……」
窓際の席で、舞い散る桜を見下ろしながら
青葉は小さく欠伸をした。
春というのは、どうしてこうも眠くなるのだろうか。
始まりの季節だから、気合いを入れるべきであるはずなのに
心地好い風とポカポカな陽気が、やる気を奪い、眠気を誘う。
もういっそ夢の世界に入り込んでしまおうか。
詩「あーおー君。起きて下さーい」
そんな風に考えていると、背後から現れた詩織が、眠気を飛ばさんと青葉の肩を掴んで前後に軽く揺さぶった。
青「何だよ詩織~」
迷惑そうに青葉は言った。
詩「新学期早々、寝ちゃダメだよ~。もうすぐHR始まるよ?」
青「そうは言っても眠いもんは眠い…」
み「やっほー!青葉ー!!」
再びまぶたが下がりかけた刹那、みもねの強烈な大声が左耳から右耳へと突き抜けた。
詩「やっほー、みもねちゃん♪」
み「やっほん♪…って青葉、どーかした?」
青「どーかした?じゃない!いきなり耳元で大声出すな!びっくりするだろ!!」
一瞬で眠気を飛ばされた青葉は、キレ気味にそう言った。
み「だあって~春は気分がウキウキってゆうか~♪」
詩「なんだか心踊るよね♪」
み「そうそうっ♪恋の季節でもあるしね!」
青「はいはいそーですか」
ガールズトークは余所でやれよも~。
そう思いながら、青葉は不機嫌そうに再び窓の外を見下ろした。
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