9人が本棚に入れています
本棚に追加
ひとしきり自己紹介を終えると、次は席替えが行われることとなった。
決められた出席番号順では面白みがないという、麗さんの提案だ。
麗「クジを作ったから順に引いてくれ。あ、目の悪い者は先に言うんだぞ~優先的に前にしてやるからな」
箱の中に折り畳まれた紙を、一人、また一人と引いていく。
その紙に書いてある番号と黒板に割り振られた席の番号が一致した場所が、自分の席というわけだ。
麗「全員引いたな?では移動してくれ」
合図と共に席を立ち、生徒らは一斉に移動を開始した。
青「はぁ~あ…」
せっかく窓際に位置していたのに、早速移動するはめになるとは。
やれやれと思いつつ、青葉は荷物を持って後ろの席へと歩いて行く。
青葉の席は窓際から二列目の一番後ろの場所だ。
別に悪い位置じゃないが、みもねや詩織とは離れてしまったようだ。
後ろはいないし前は知らない女子、右は男子だが見るからにがり勉といった感じで親しくなれそうにない。
これで左も知らない人だったら完全に孤立じゃないか。
初日からなんて運が悪いんだ。
青葉は小さくため息をついた。
そうしているといつの間に来たのか、左の席に一人の生徒が着席した。
透き通るような白い肌に、折れそうな程に細い身体。
その一端の腕が上がり、薄い茶色のショートヘアを軽く掻き上げ
儚げな瞳でこちらを見ながら、彼女は静かに口を開いた。
千「よろしく…青ちゃん」
最初のコメントを投稿しよう!