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全判の画用紙程度の大きさの絵は、一緒に来た母親のミニバンに乗るだろう。
甥っ子は、大学に通うために入るアパートにこの絵を持っていくつもりらしい。
「叔父さん、この絵のモデルって、大じいちゃんの妹だった人なんだよね。」
「ああ。若くして亡くなったらしいよ。」
「だから、大じいちゃんは絵に描いて残したのかな。もったいないよね、こんなに美人なのにさ。」
甥っ子ほど絵の少女に惹かれないのは、私に絵画を見る目がないからか。
ともかく、この絵が正当な理由でこの家からなくなるのはありがたい。
ヒメサユリの群生の中、少女の微笑は清らかに、しかし、時として誘うようにーー
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