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伯母さんは『源蔵さんの仕事を手助けして少しでも負担を減らしてあげたいの』と言い、伯父さんと共に海外に行ってしまった。
家には両親がいない。いや、いたと言うのが正しいかな。
俺が小学四年くらいのころ、事故にあって二人とも死んでしまった。……もう七年も前になるんだな…
葬式の日、伯父さんが『家で住まないか?生活費は出してやる!俺たちは家にいないだろうがな!ガハハ』と言って俺たちを伯父さんの家に住まわせてもらってるんだよな。
『家も放置してるだけじゃ痛むしな、誰かに使ってもらった方が家も本望だろ!』とも言っていたが。
「?兄さん、ボーッっとしてどうしたんですか?」
「ああ、いや、なんでもないよ」
「むぅ…それならいいんですが……、何か心配事があるなら相談してくださいね?妹は兄の支えになるものなんですから」
「うん、ありがとな」
こんなできた妹を持って俺は幸せな奴なんだろう。
「さて、ごちそうさま。相変わらずうまかったよ」
「はい、私もごちそうさまです」
食器を流しに置き、洗い始める。
「食器おいておいてね~」
「もう、兄さん、私がやりますのに…」
「ハハハ、そんなことより今日は入学式なんだ、着替えておいで」
普段から美咲には家事は任せっきりだからな。
「―わかりました、兄さんも遅れないでくださいね?」
「はいはい、わかってるよ」
パタパタと足を鳴らして階段を上がっていく。
さて、さっさと食器を洗っちゃいますか!
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