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「あら?珍しく起きてるじゃないの、台風でも来るのかしら」
母親が驚いた顔で部屋に入って来た。
「たまに早起きしたぐらいで台風なんか来るか!何か用かよ?」
ムッとしながら煙草を揉み消す。
「あんた!また煙草なんか吸って!いい加減にしなさいよっ!嫌だ窓も開けないで!部屋中に臭いが付いちゃうじゃないの!」
そう言いながら窓を開けると、冬の朝らしい冷たく澄んだ空気が煙草の煙を追い出して行く。
「さみぃから開けるなよ!ってか何の用なんだよ」
「あ、そうそう今日ね静岡のおじいちゃんの三回忌なのよ、ほらお父さん長男でしょ?あんたも息子として挨拶ぐらいしっかりしとかないと恥ずかしいから一緒に来なさいよ」
母親は部屋の空気を入れ換えようと雑誌をバタバタさせている。
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