物語の終わりには。

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「おはよう」 始業式の日、昇降口でヒロムにばったり会った。あたしは目を丸くしてしまったんだと思う。 「お……はよう」 「お前、顔太った?餅みたいだな」 「餅?」 「餅子」と変なあだ名をつけてケラケラ笑った。首に巻いた黒いチェックのマフラーは見たことがなくていつ買ったんだろう。貰ったのかなって気になった。 「ミア、太れないんじゃなかったっけ?」 だけど、顔には出さないようにして「ムカつく。むくんでるの」と睨んだ。ヒロムは先に教室へと向かって行った。 普通すぎるヒロムを見て、あたしのこと、もう友達だと思っているのかなって、不安になった。 友達だと思われるのが嫌。それは確かだった。 なら、成澤くんと別れてヒロムと付き合えばいいのかな。 だけど、モモカはヒロムのことを最近では「好き」と言ってるし。軽い気持ちでそれを判断するわけにはいかなくて。試しに一回付き合ってみようか、なんてこと言えるわけがない。 それに今さらだとも思う。
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