初めての経験。

9/21
4272人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
その日の帰り、なぜかヒロムに送って貰うことになった。自転車の荷台にあたしを乗せてゆっくりと走りだす。 「掴まんなくていいの?」 「えっ?」 「落ちるかもよ?」 「こんなにゆっくり漕いでるのに?」 「急に運転が荒くなるかも」 そう言うと、わざと臭い蛇行運転でくねくね走ってあたしを揺らす。 「わっ」と言うと、ヒロムの背中に顔をぶつけてしまって手が彼の腰に触れた。 ドキッとしながら、そっと掴んだ。 今日の放課後まで全然仲良くなかったのに。なんか不思議。 彼の着ているコートからは、部屋の香りかヒロムの香りかわからない柔らかな匂いがした。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!