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その日の帰り、なぜかヒロムに送って貰うことになった。自転車の荷台にあたしを乗せてゆっくりと走りだす。
「掴まんなくていいの?」
「えっ?」
「落ちるかもよ?」
「こんなにゆっくり漕いでるのに?」
「急に運転が荒くなるかも」
そう言うと、わざと臭い蛇行運転でくねくね走ってあたしを揺らす。
「わっ」と言うと、ヒロムの背中に顔をぶつけてしまって手が彼の腰に触れた。
ドキッとしながら、そっと掴んだ。
今日の放課後まで全然仲良くなかったのに。なんか不思議。
彼の着ているコートからは、部屋の香りかヒロムの香りかわからない柔らかな匂いがした。
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