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【B 2111年2月1日】
俺の名前は、咲夜。
イキシアによって開発された人型ロボットです。
俺は自国(イキシア)と敵国(モルセラ)の戦闘に備えた、いわゆる軍用ロボットとして開発されました。
今回はテスト運用として2ヶ月の間、最近発見されたモルセラのリーダーの監視を行うエージェントのサポートを任されています。
そして今、俺がサポートするイキシアのエージェント
コードネーム・リョウは作業着を着た黒髪で長い髪の少女。
彼女は浸入ルート確認のために高層ビル屋上に這いつくばって、スコープを覗いた体勢で、俺には背を向けた形となっています。
「…あのさ。」
『どうかしましたか?リョウ。』
「人の後ろから覆い被さって胸揉むの止めて貰えないかしら?」
俺には人間同様、生殖機能もあり人並みの性欲も備えられているらしいですよ。
『だめなのですか?』
「駄目に決まってるでしょ!?
変態!屑!粗大ゴミ!!立場わきまえなさいよ!」
彼女は怒りぎみ(というか、怒って)バシバシと俺に本気で平手打ちをする。
「この間、完成したばかりのロボットとはいえ常識が無さすぎる…今までで一番、タチが悪いわ…」
と溜め息をつきながら頭を抱える。
『おれのかいはつは、いままでのちのうじゅうしではなく、せいたいきのうやのうりょくをじゅうししてつくられたようなので、ほんのしょほてきなものははいっていますが、いっぱんきょうようおよびちしきなどは、しゅういからきくまたは、しらべていくことにより、めもりーにほぞんしていくようになっています』
「知識は後付けってことね。…開発はどれだけ切羽詰まってたのかしら。」
『そうとうまいっていたそうです』
「知識とか付けてない割には、見た目が随分と人間っぽいわね。」
面白半分に俺の頬をつねってリョウは笑った。
『あの…できればやめてもらえませんか?』
「あら、ごめんなさいね。
…ちなみに、その見た目とは裏腹なロボットみたいなしゃべり方はどうにかなるの?」
『しばらくにんげんのかいわをききつづけることにより、かいしょうされていくはずです。』
「そう。まあ早く聴きやすい言葉を話してくれるよう祈るわ。…今回も任務開始と同時に壊れるなんてことはないようにね」
『だいじょうぶだとおもいます。』
「そう、なら良いけど。回収が面倒なのだから、頼むわよ。
…ポンコツロボ準備完了。いつでも始めて良いわ。」
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