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夢を見た。 夢の中では僕が王様で、僕の思い通りになる世界。僕が望んだ、僕にとって一番いい世界。 嫌いな奴は全員死刑にした。死んでいく所を僕は笑いながら見ていた。 友達はみんな僕の家来にした。友達は僕の命令に従って、操り人形の様に動いた。 誰も裏切らない。誰も僕に従い、慕い、尊敬する。 僕は誰よりも高い場所から、高らかに笑った。気持ちが良かった。 突然、終わらないと思っていた世界に亀裂が走った。 空と大地が割れ、人々は飲み込まれていく。僕の世界が消えていく。 ―やめろ ―やめてくれ どんなに声を張らしても、弧空に虚しく掻き消される。 浸食は進み、僕が立っている場所にもひびが入る。 逃げる場所がないかと慌てて辺りを見渡すと、一面が闇に覆われていた。 僕の街、人、世界が消えてひとりっきりになっていた。 そして立っている場所が崩れ落ち、闇へと落ちていく。僕は手を伸ばした。だけど何も掴めない。そして深い闇へと落ちていった。
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