407人が本棚に入れています
本棚に追加
「私ね、分かったことがあって」
自分の手を閉じたり開いたりを繰り返しながら、亜希は話し始める。
表情は柔くて、少し照れくさそうで。
「総司さんに会ってからまだ半年も経ってないのに、いつのまにかすごく大切な存在になっててね」
「時間なんて関係ないよ」
短くても濃い期間だったんだから、なおさら。
沙希さんもよくやるよね。
「…ね、真奈美」
「んー?」
コーヒーを飲みながら返事をする。
マグカップから亜希に視線を移すと、亜希はなんともいえない複雑な顔をしていた。
「やっぱ、帰りたいのかな…」
・・・えーと、多分沖田さんの話だよね。
それで帰りたいっていうと・・・
「・・・幕末に、ってこと?」
亜希はこくりと頷く。
あたしにはもちろん分からない。
でもあたしの考えだけでも、と思った。
最初のコメントを投稿しよう!