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私の手から自分の手を離し、私の隣のブランコに座った。
「名前なんていうの?」
「……愛子」
短く答えると、その子は一瞬驚いた顔をしてから、屈託のない笑顔で私を見てきた。
「ほんと!?」
小さく頷いた。
カシャンという音と共に私の肩が叩かれた。
顔をあげると満面の笑みの女の子。
「私も藍子っていうの!同じ名前だね!」
それが私と私の姉の藍子の出会いだった。
その日から15時になると必ず藍子と出会った西公園、通称船公園に足を向かわせた。
私は藍子が大好きだった。藍子もそうであったのではないだろうか。
毎回17時ぴったりに藍子の母親は藍子を迎えにくる。
私と藍子は毎日2時間だけの関係だったが、私にとっては一番大きな存在になっていた。
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