⊿ 別れ

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入院が始まると、病状が思わしくないのか お見舞いに行っても会えるのは母だけで、私と兄は2人で待った... そして、気付いたときには父は、集中治療室にいて 顔や体がむくみ、昏睡状態の父と私たち兄弟は1ヶ月ぶりの再会を果たした。 左手の薬指にはめられた、母との結婚指輪は、指から取れない状態で いくら呼びかけても、目を覚まさない大好きな父に 言葉が出なかった。 学校であったことを毎日、目の覚まさない父の横で笑顔で語り、 いつか、またたくさんの場所に連れていってくれると信じて毎回むくんだ父の手を握った。
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