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「…う~、大丈夫?詩花(うた)」
「うん、大丈夫。あんまり濡れてない。
彩花(いろは)お姉ちゃんは?」
「ん~、そこそこ大丈夫。」
二人は軒先で腕や髪、服についた水滴を
払い落としながら、大丈夫かと聞き合う。
「…ごめんね?詩花。
詩花の言う通り、あのまま散歩して
帰っていれば、こんな事には…。」
「気にしなくていいよ、お姉ちゃん。
実は私も秘密基地行くの楽しみにしてた
…きゃあ!!」
「詩花!?」
彩花が少し沈んだ様子で謝っていると、
急に詩花が悲鳴を上げる。
下を向いて地面を見ていた彩花は驚いて
顔を上げ、横にいる詩花の方へと向くと、
「…ぇ?」
「…扉が、開いたの…。」
詩花の背後にあった引き戸が開いている。
僅かに中を覗ける程度ではあるが、
閉まっていた筈の戸が開いているのだ。
…もしかしたら、中に誰かいるのかも…
全く同じ事を考えてた二人は、
同じタイミングで、それぞれ姉、妹を見る。
顔を見合わせた二人は同じ考えだと悟ると、
小さく頷き、引き戸の持ち手に手をかける。
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