壱幕

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カラガラガラガラ 戸が引かれ、小気味良い音と共に 木製の扉が軋む。 そろりそろりと二人は歩み進め、中を伺う。 …そこには誰もおらず、ただ、蝋燭の灯りが 揺らめくだけだった。 再び顔を見合わせた二人は、今度は首を傾げ 玄関の中程まで歩いていく。 ガラガラガラ!ピシャンッ!!!! 「「!!」」 すると、開けっぱなしだった筈の戸が 急に音をたてて閉まる。 「ぇ!?なに?!?!」 慌てて引き戸へと駆け寄った二人は ガタガタと扉を動かすも、先程とは 打って変わってびくともしない。 「なんで?!なんで開かないの!?」 彩花が扉を壊す勢いで動かし続けるも、 開く気配は一向にない。 …閉じ込められた…!! そんな焦りから彩花は扉を動かす事を止め、 戸を力一杯叩き喚き始めた。 バンバン!! 「すみません!出してください!! お願いします!!ここから出してぇ!!」 バンバン!! バンバン!! .
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