壱幕

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「「…。」」 二人は茫然と、その場に立ち尽くす。 果たして今のは何だったのか…? 訳の判らぬまま、先に動いたのは姉の彩花。 床に置かれた提灯を手に取ると、 「…とにかく、他の出口を探そう? 開いてるところがあるかも知れないよ。」 「…うん、そうだね…」 バン!! 「「っ!!」」 二人がこの場を離れようとした瞬間、 突如戸が何者かに叩かれた。 バン!バン! 「「…。」」 二人は抱き合い、その様子を見た。 …もしかしたら、自分達と同じ様に 雨宿りに来たのかも…?? そう考えた二人は戸へと近付いてみる。 バンバン! バンバン! 一定のリズムを刻むように戸が叩かれる。 提灯を持つ彩花が少し先を行き、 戸を灯りで照らしながら、一歩、また一歩、 と二人は歩いていく。 バンバン!バンバン! バンバン!バンバン!バンバン! 外の人物は痺れを切らせてきたのか、 次第に叩くスピードが早まっていく。 「…ねぇ、お姉ちゃん。」 ふと、詩花が足を止め、彩花のワンピースの 袖を引っ張る。 「…そとに、何人かいるよ?」 「…ぇ?」 .
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