弐幕

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ギシギシギシギシ 古い床板が軋む音に合わせて聞こえる 走る音と、喘ぐ声が二つ。 暗い廊下の先を僅かに照らす提灯の灯りが、 唯一の灯りとなっていた。 「あ」 ぐん、と提灯を持っていた姉の手が引かれ、 足を止めた。 「詩花(うた)?!」 振り返ると、手を握っていた妹が 床に踞っており、立ち上がる所だった。 「ごめん、彩花(いろは)お姉ちゃん。 足がもつれたみたいで…。」 申し訳なさそうに俯く詩花に、彩花は 首を横に振り、 「謝らなくても大丈夫だよ、詩花。 それに、ここまでくれば大丈夫だろうし。」 詩花に笑いかけながら、そう言って慰める。 「…うん、そう…だね? ありがとう、お姉ちゃん。」 ほんの少しだけだが笑顔を見れた事で、 彩花もひと安心する。 「…よし! じゃあ、早くここから出られる所を…。」 …トン! 再び歩き出そうとした時、上から、 何かが落ちる音がした。 .
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