弐幕

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とうとう最後の段差も転げ落ちたそれは、 姉妹の足元のすぐ近くまで転がってきた。 ころころころころ、ずりずりずりずり その間に、それに巻き付いていた黒糸は はらはらと緩み、床に落ちていく。 黒糸は一本一本が長く、まるで、 人の髪のようで… それが緩まり落ちる度、巻かれていたモノの 青白い部分が広がっていく…。 「…。」「…っ。」 青白いモノには凹凸があり、それは 人の鼻のようで、人の耳のようで、 人の口のようで、…人の目玉のようなモノと 姉妹は目が合う。 「「…!!」」 …違う、これは… …人の、頭だ。 目を血走らせ、頭はギロリとこちらを向く。 妙に赤い口をだらりと開き、黒く塗った 歯を露見させている。 …ごろん、 ゆっくりと、首だけの女は動き出し、 姉妹へと更に近付く。 …ごろん、ごろん それに合わせて、姉妹も一歩一歩後ずさる。 .
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