弐幕

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先程からの、あまりに非現実的なソレに、 姉妹は上手く頭が働かないでいた。 ごろん、ごろん ただ、パニック寸前の姉妹にも判るのは 「…詩花!!」 「っ!!」 二人は一斉に駆け出す。 ただ…、 判るのは、立ち止まってはいけない事と、 ―ダッダッダッダッダッダッダッダッ!! …早く、この屋敷から脱出しなければ! その二つであった。 … 兎に角、二人は走る。 ギシギシと床板を軋ませ、長く続く廊下を、 右へ左へと曲がりながら、二人は走る。 互いに互いの手を握り、彩花の持っている 提灯の灯りを頼りに、走る、走る、走る。 走る、走る、曲がる、曲がる、走る。 …そんな時、 ―~♪♪~~♪♪♪ …暗い日本家屋というこの場所に、場違いな 明るい女性の歌が響き渡った。 「うわっ!」 姉妹は驚いて立ち止まってしまい、 音源を探しているのか、キョロキョロと 辺りを見回す。 .
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