弐幕

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「お姉ちゃん、ケータイ!」 「…あ!」 詩花の指摘で、ようやく音源を突き止めた。 彩花の黒いワンピースのポケットの中にある ケータイ電話だ。 時間を知る為に、と彩花は持ち出していた。 彩花はケータイを取り出し、パカリと 二つ折りのケータイを開く。 光る画面には非通知と表示されており、 着信が未だに続いている事を示していた。 二人は非通知設定されているのに 疑問を覚えたが、もしかしたら母親が 帰らぬ二人を心配して電話してきたのかと 期待して、通話ボタンを押す。 「もしもしお母さん!?」 叫ぶように彩花がマイクに向かって言う。 詩花は渡された提灯をケータイに向けて、 彩花が見やすいように配慮していた。 「お母さん助けて!! 私たち、変なお屋敷から出られなくて…!! ねぇ、お母さん!!!聞こえてるの!?」 しかし母は一行に声を発しない。 彩花の叫びはどんどん大きくなっていき、 キンと耳を劈く。 .
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