19人が本棚に入れています
本棚に追加
しゃりーん
しゃりーん
どこからか、鈴の音が聞こえる。
ぼんやりとした視界は、けれど
見覚えのある光景を映し出している。
…ぁ、法事…始まっちゃった…?
彩花・詩花が訪れている祖母の家で
喪服を着た人々が、静かに座っていた。
…あれ?
しかし少し様子が違った。
遺影に菊の花が盛大に飾られ、その前には
木製の、真新しい棺桶…。
…これは…3年前のお祖母ちゃんの…
-可哀想に…。
親族席に座っている時には聞こえなかった
葬列者の声が聞こえる。
-バス停で待っていたら…
-車が突っ込んだらしい…。
-可哀想に。…は、まだこれから…。
-可哀想に…。あの子も…。
…あの子?
「…お姉ちゃん!!」
.
最初のコメントを投稿しよう!