弐幕

9/11
前へ
/92ページ
次へ
しゃりーん しゃりーん どこからか、鈴の音が聞こえる。 ぼんやりとした視界は、けれど 見覚えのある光景を映し出している。 …ぁ、法事…始まっちゃった…? 彩花・詩花が訪れている祖母の家で 喪服を着た人々が、静かに座っていた。 …あれ? しかし少し様子が違った。 遺影に菊の花が盛大に飾られ、その前には 木製の、真新しい棺桶…。 …これは…3年前のお祖母ちゃんの… -可哀想に…。 親族席に座っている時には聞こえなかった 葬列者の声が聞こえる。 -バス停で待っていたら… -車が突っ込んだらしい…。 -可哀想に。…は、まだこれから…。 -可哀想に…。あの子も…。 …あの子? 「…お姉ちゃん!!」 .
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加