弐幕

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「あの…。」 お礼を言おうとしたその時、 「…早く…早く…。」 初めて、女性は声を発する。 そして二人の頭上を指差した。 二人は同時に顔を上へと向ける。 そこには神棚が釣ってあった。 彩花の位置からは何も見えないが、 詩花には何があるのかが見えたようで、 「…なにか、あるよ?」 そう言った詩花はつま先立ちをして、 神棚に手を伸ばす。 カタン! 「…ぁ」 詩花の手が触れてバランスが崩れたのか、 神棚から何かが落ちてきた。 「っ!」 咄嗟に彩花がそれをキャッチし、 何とか壊れずに済んだ。 彩花は両手に納まったソレを見る。 「…鏡?」 それは半円型の鏡で、しかし白く曇り、 姿を写し出すのは叶わずにいる。 「お姉ちゃん、それ何?」 「多分…鏡だと思う。曇ってるけど…。」 これが何だと言うのだ?と疑問に思うが、 例の如く、問おうとした時には もう、女性の姿は無かった。 …あの人…どこかで…。 .
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