参幕

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二人は、女性が消えて幾分か広くなった この畳の部屋を見渡す。 部屋はどうやら四角ではないようで、 途中から緩やかに湾曲している。 丁度、彩花(いろは)が持っている 鏡の様な形になっていると予想出来る。 周りにある障子戸はぴっちりと閉まり、 丸窓の和紙によって緩んだ光は、 淡く、部屋の中を照らし出している。 まるで、月光が部屋に差し込むように 淡く、儚い、光…。 縄で囲まれたこの部屋を、より一層 幻想的に演出していた。 「…ねぇ、詩花(うた)? ここ、なんか他の部屋と違うね??」 「…うん。」 二人はゆったりと立ち上がり、あちこちを 触って確かめ始める。 縄には寺や神社でよく見る白い紙… 紙垂(しで)が何十枚と垂れている。 …まるで、結界のようだ…。 彩花がそう思いながら縄に手を伸ばした時、 バサバサバサ…! 「きゃあ!」 何かの冊子が数本落ちる音と、詩花の 小さな悲鳴が聞こえた。 .
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