参幕

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彩花が音のした方を向くと、さっきの 神棚の近くに踞る詩花と、紐で綴じられた 本が数本、散乱している光景が目に入った。 「詩花!大丈夫??」 「うん、大丈夫。 神棚にまだ何かあるから取ろうと思って…。 う~、もっと背が高くなりたいよ…!」 こんな訳の判らない状況でもそんな事を 言える詩花。 心配性な割に不思議な発言をする妹に 彩花は多少ヤキモキする事もあるが、 今は何故だか安心する。 非現実の中の、唯一の、日常…だから…? 「お姉ちゃん?」 「…ぁ、ごめん。何だっけ??」 「…大丈夫? さっきから何か様子が変だよ?」 「…うん、大丈夫。大丈夫だから…。」 心配させまいと微かに笑顔を見せる彩花。 詩花の不安は募るばかりだが、姉の そんな顔を見たら、何も言えないだろう。 眉を顰めたまま、詩花は散乱した本の中から 一冊、手に取る。 藍色の表紙には丸い月らしきものが 描かれている、題名のない本を…。 .
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