彫刻家~ 処女作にかえれ~

10/55
前へ
/55ページ
次へ
「十一月の便り」 十一月の便りは 春のように 春のように 空からふりくるもののある 十五歳の少年のように 気ままに移ろいやすかった秋空が 突然、二十歳の青年のように 灰色の鈍重な空に変わる時 なにかの決意のように私に訪れたのは 凛々しく冷たい白い雪 これは深い苦悩のなかで 君が綴った手紙だろうか 十一月の便りは 花のように 花のように 花ではないものが私に届く 凍えた手紙よ 冬が来たのだな 作 夏休み
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加