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『キャバ嬢Aの一日』
『キャバ嬢Aの一日』は絵本の題名です
幼稚園で先生が
煙草臭い息で、よく読んでくれたものでした
そうそう、親指姫が好きだったあの子
今ごろどうしているかしら
今日もどこかでシンデレラはガラスの靴を片方脱いで
きっと、白雪姫は毒りんごをまちぼうけ
そうそう、親指姫の大好きなあの子は
今ごろどうしているかしら
将来何になりたいの?
大人の言葉が寒空に消えていくのをまっては
『キャバ嬢Aの一日』 を読んでと
私たちみんなが先生にせがむものだから
親指姫が好きだったあの子は
いつもお砂場でひとりきり泣きくれて
かぐや姫の大好きなおねえさまは
とっくに幼稚園をご卒業
私たちはおめでとうといったのよ
『キャバ嬢Aの一日』の、ご本を胸に大切に抱いたまま
ごきげんようといったのよ
作 夏休み
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