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ゆず
どんぐりぼうしのお椀にお汁粉いれて
ガラスのおはじき綺麗なおさら
ゆずの実刻みのせましょう
おざぶとん、小菊のお花しいたなら
誰か遊びにこないかしらと
冬里の小さな民家の庭で幼子ひとり
お膳に松葉のはしをそろえます
待ちぼうけに雪がつらつきはじめたころ
こころづくしに誘われたか
雪にまたがった一寸法師が
幼子のいる庭めがけておりたちました
「やぁ、やぁ、素敵なごちそうだ」
思いがけないお客人に手ばなしでよろこんだ幼子は
さぁどうぞと笹の葉のお茶を用意して
せっせっと雪のお餅をつきはじめました
一寸法師は次から次へとお餅をたいらげて
ゆずのおしんこもうまいなぁ、と笑いながら
ゆっくり庭をみわたして
小雪にはゆずが似合って綺麗だなぁといいました
幼子もゆずや椿といっしょに庭にたち
小さな声でわたしも小雪というのです
とつぶやきました
一寸法師の帰った庭で
作 夏休み
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