彫刻家~ 処女作にかえれ~

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「螺鈿紫檀五弦琵琶」 沙羅みずから花さかば 遠い異国に雨のふる 月もかなしき水無月の頃 キャラバンは砂漠に長い影落としいく 誰に歌うとわの別れか 吟遊詩人の独り歌うさよならは 旅人たちの胸にやどりし面影ゆらし シルクロードを東の果てへと流れいく 磯をうつ白波の今も彼方へたちかえる 二千年旅せし螺鈿紫檀五弦琵琶の さようならの色あせぬまま 作 夏休み
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