天狗のそら

取材には難関なものと簡単なものがあるから頼むから覚えて欲しい

｢記事の作成は手伝わんからな｣

｢元防衛部には期待してないわよ｣

私と文は、まあ旧知の仲で、文は防衛部訓練生の時代からの私を知っているし、私も広報部に入る前の報道部隊見習いの文を知っている。

こんな形で共に仕事をするようになるとは考えもしなかったが。

｢桜には山伏天狗の所に出来た記事を持ってってもらうから。あ、事務天狗が今月の経費がおかしいとか言ってたけど？｣

山伏天狗は、自らの仕事の合間に広報部(鴉天狗、すなわち私達)の新聞記事の印刷もやってくれる天狗である。

管理職の大天狗の次に忙しいと聞くが、詳しくは知らない。

｢ああ、書類を片付けてから行くよ｣

事務天狗とは、天狗一般に事務局の鼻高天狗達の事を指す。

私はつい先月まで防衛部と事務局を掛け持ちしていたので、たまにあっちの仕事が流れてくる。