18人が本棚に入れています
本棚に追加
みっかめ。
「鈴木さん、今日のこと忘れないでねっ」
朝、教室に入ってすぐ山田くんにそう言われた。
そんなきらきら眩しい笑顔で言われたら、頷くしかないじゃないですか、山田くん。今日、本当は女子からの目を気にして断ろうと思ってたのに。(ほんとに怖いの。冗談抜きで。)
もう、そんなこんなで放課後になってしまいました。授業になんちゃ集中できなかった。山田くんのせいだ。いや、山田くんのことばっかり考える自分のせい。
「はい、机くっつけてー。やるならみっちりやるからなっ!」
「うん、ありがとう。」
誰もいない教室でフタリ。
シャーペンの書く音と、野球部の気持ちのいい掛け声だけが響く。
「…うぬぬ、わかんない。」
「えっとね、ここはこうしてー…ほら、わかったでしょ?」
「あ、わかった!すごいね、山田くん!」
すごく分かりやすく説明をしてくれて、苦手な数学が少しだけ好きになった。少しだけだよ。
「山田くん、なんてちょっと距離あるし。涼介、って呼んでよ。」
「りょっ、りょっ、涼介くん?!」
「うん、だから俺はるりちゃん。ふふ、仲良しだねー。なんちゃって。」
山田くん、めちゃめちゃ素敵です。みっかめ。
_
最初のコメントを投稿しよう!