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「はぁ~~」
段々と強くなってくるその香り。
「うっとり~~」
目の前で注がれる、その香気をまとったもの。
「……お待たせ致しました。クリームティーでございます。本日のスコーンは、プレーンとクルミでございます」
「~~~~っっ」
カウンターに広げられたそれらに対し、浅田大介(あさだ だいすけ)は感動の視線を送る。
「ゆっくり、召し上がってください」
「はい……」
オーナーの言葉に、大介は大きく頷いた。
「――……あ~~、幸せ~~」
早速スコーンを一個食べ終え、二杯目の紅茶をカップに、自分で注いだあと、大介は充実感たっぷりの表情でひとりごちた。
「浅田様。いつも当店をご利用いただき、ありがとうございます」
オーナーが頭を下げてくる。
「そ、そ、そんな。毎日来ているわけでもないし……で、でも、俺……ここの紅茶とスコーン、とても好きです」
「お気に召していただき、ありがとうございます」
目を細めるオーナーに、大介は緊張を紛らわせる為、ぐびっと紅茶をあおる。
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