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「夏樹君」
「ひゃああああ!」
耳を塞いでカウンターの下にしゃがみ込んでいた僕の頭を、上からつんつんと突かれて思わず大きな声が出てしまった。
「ふふ。茹でダコ」
「あううう…」
カウンターの上から上半身を乗り出すように覗き込んで、しゃがんだ僕の熱いほっぺたを京さんの白くて長い指が突っつく。
京さん…氷村京(ヒムラ キョウ)さんは生徒会副会長。
銀のフレームの眼鏡が似合う知的クールな美形さんで、図書館の常連さん。
僕みたいな地味な人間にすごく優しくて、おまけに読書仲間なんだよ!
「しかし、目の前でコトに至られるなんて夏樹君は災難でしたね」
「あう…」
思い出させないで…っ!か、顔が熱いよぅ…
「ふふふ。かわいいなあ」
「はううう」
京さんは凄く綺麗な笑顔でクスクス笑いながら、僕のほっぺたを突いている。
意地悪な笑顔をしてもカッコイイなんて反則だ。
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