図書館の眠り姫

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「さて。夏樹君で遊ぶのはここまでにして…はい、返却です」 「はうっ、は、はい…!」 京さんのペースについていけない… 渡された本の返却登録をして、ちらっと顔を上げるとまだ京さんがにこにこ笑っている。 「…あ、そうだ。京さんが言っていた本のフランス語の原本が入りましたよ」 「本当ですか!」 「じゃーんっ!一番に京さんに読んでもらおうと思って、ここに取り置きしてます」 本を渡すと、キラキラした目でページをめくる。 ほんとに本が好きなんだなあ。図書委員冥利に尽きるよね。 「それと、もう一冊京さんが好きな本の新刊が入っているんですが…」 「じゃあ、それも一緒に…あ、いえ。これだけ借りますね」 「二冊借りないんですか?」 「一冊ずつなら、夏樹君に会える回数が増えますから」 「はうっ」 キラキラキラースマイル! こんな事をさらっと言っちゃえるからモテモテなんだよ京さんっ! …男にだけど。
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