夏の日

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その言葉に千華は涙を浮かべ大滝を見たが大滝は目を逸らした。 「千華さんはまだ若い。だから早く俺と離婚して他の人と子供を……」 「なんでよ。なんでそんな事いうの?」 「俺が悪いんだ。若い頃に検査しておけばよかった。そしたら千華さんを悲しませることはなかったのに」 「あたし絶対に別れないから」 「俺といたら子供は……」 「子供のいないこれからの人生より、一哉さんのいない人生のほうが辛い。だから……」 千華の頬に涙が伝った。 その涙にいつもなら直ぐにでも抱きしめている大滝だが、今は身動きひとつできなかった。
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