夏の日

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「別れよう。……って言われたの」 千華は見知らぬ男性と静かなバーにいた。 「旦那さんに?」 男性は千華の左手の指輪に視線を向け、千華はその指輪を撫でながら無言で頷いた。 「何?浮気?それとも風俗がバレたとか?」 千華は再び無言で首を横に振る。 「そっか……。色々あったんだ……。辛かったね」 「辛かったのは彼の方……。あんなに頑張ってくれたのに……」 男性何も言わず頭を優しく撫でてくれた。 その手つきは大滝の撫で方によく似ていた。 「……一哉……さん」 「なに?」 思わず夫の名前を呟いてしまうとなぜか男性が返事をした。
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