夏の次の日

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「あんなに子供欲しがってたじゃない。なのになんで……。なんでその前に相談してくれなかったのっ!!」 母は感情が込み上げてきたらしく泣き出した。 「大滝さん。あなたには悪いけど離婚してあげて。この子と別れて下さい。千華に子供を抱かせてやって下さい」 「本当に申し訳ありません」 大滝は座布団から降り、畳に頭を擦り付け千華の両親に土下座をした。 「一哉さんやめて。お母さんもやめて。そんな事言わないで」 「だってそうでしょ?あなたはまだ20代よ。別の人とだったら子供が出来るのよ。あんなに赤ちゃん欲しがってたじゃない」 「あたしは一哉さんの赤ちゃんが欲しいの。他の人との子なんていらないの」 「だったら治療すればいいじゃない!確率は0じゃないんでしょ?」 千華と母の話は堂々巡りを始め、大滝は黙って頭を下げたままその話を聞いている事しかできなかった。
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